生きてて良かった
ああ、生きてて良かった。
小さな頃から「死ぬ」ことが怖かった。
死なないように、危険だと思ったことはできるだけ避けて生きてきた。
大袈裟に聞こえるが、普通に「怖いな」と思うことはやらない、「食べたくないな」(好き嫌いの問題だけでなく、衛生面、安全性等も含まれる場合もある)と思えば食べない、私の舌や鼻もあまり添加物が入った食べ物を好まないので比較的シンプルな味付けの物ばかりを食べるのだ。
ただそれだけ。
小学二年生の12月末、「世界が2012年の大晦日で滅亡する」みたいなことを聞いた。
多分母が好きなオカルト系の番組だった。
その時から
「自分はどこから来てどこへゆくのか、自分が自分という存在であるのは何故なのか、何故自分は自分という身体、意識を持っているのか」
というようなことを考え出した。
今でもふとしたときに考える。
決まってだんだん怖くなって考えるのをやめてしまうが、自分の理解には必要な作業であると思っている。
私は周りに上手く馴染めるような子供ではない。
当たり障りのない内容の話はできるが、どちらかといえばオタクじみたことが大好きなので、陽キャ女子(明るくていつも賑やかな女子のこと)とかいうのには相性が悪いのだと思う。
甲高い笑い声はとても苦手だ。
バカにされた時ようなクスクスとした笑い声も。
騒がしいのは苦手だ。
「死を避ける」ためのセンサーである耳がその声で邪魔されて、感知出来なくなるから。
「危ないこと」も「怖いこと」も分からなくなって、転びやすくなったり、どこかに手足をぶつけやすくなったり、怪我をする確率が上がるから。
「危険」を察知するためにあるはず視力は元々悪かったようで、飛行機雲を描いて空を高く飛ぶ飛行機を10歳でメガネをかけて生活するまで生まれてから見えたことがなかった。
昔は裸眼でも見えていたはずの星空も、今じゃただの闇と化してしまった。
できることも増えるかわりに、その代償に今まで出来ていたこと、できて当たり前だったことがどんどん出来なくなってしまった。
私はこれからどうなるのか、分からないけど、生きていて良かったそう思ってる。
人生の幕を閉じるときは、「生きていて良かった」と言える人生にしていきたい。